「市場は物理法則で動く」(マーク・ブキャナン)
経済学は嫌いだ。大嫌いだ。
面白味も説得力もない。あんなもんクソだ。
しかし経済には興味があるのだ。
そして以前から経済物理学には興味があった。
正月に「歴史は『べき乗則』で動く」を読んだ。
とても面白い。地震や山火事などの自然現象と戦争などの社会現象の多くがべき乗則に従っており、そのメカニズムがシミュレーションを使って物理的に解明できるというのだ。
そこで同じ著者の経済学の本であるわけだが読み始めると正統派経済学に対する批判が続く、いつまで続くのか?
次の章からは経済物理学の話になるのか?あれ、まだ批判?じゃあ次の章?
・・・俺は経済物理学の本を読みに来たんだ、ずっと悪口ばかりじゃないか。
リーマンショックとフラッシュクラッシュを受けて正統派経済学にかなりお怒りのようであるのはわかるが。
それにしても・・・正統派経済学とかどうでもいいので経済物理学の話をしませんか?
確かに経済物理学の話も出てくるけれどももっとメインディッシュにしてほしい。
「なぜ『やる気』は長続きしないのか」(デステノ)
邦題は釣り。
原題の「感情的な成功―感謝と思いやりと誇りの力」が正解。
やる気を長続きさせる方法は・・・手軽な方法は示されていない。
それでも心理学の実験に基づいて論を展開していることは評価できる。
内容は以下の通り
-------------
将来のことを考えて意志の力を働かせるとき、取り得る作戦は二つある。
認知認識(合理、論理)を利用する方法と感情を利用する方法だ。
一般的に認知認識の力を使うことが好ましく、感情を利用する方法は非難されがちである。
しかし認知認識の力は使うと消耗することが明らかになった。
代わりに感謝、思いやり、誇りといった感情は意志の力を強め、かつ、消耗することがないことが明らかになっている。
感謝、思いやり、誇りといった感情は社会的なものであり、人との交流で伝播する。
また、こういった感情を社会全体で呼び起こすことは政治的な将来の課題を果たすためにも有効だ。
その時は倫理観に訴えるのもよい。
-------------
感謝、思いやり、誇りが意志の力を強めることはわかったが、では他人との交流が疎な人間がこれらの力を強めるにはどうしたらいいのか。
感謝については軽く触れられているが他の二つについてはわからない。
結局コミュニケーションスキルが高い人間だけがどんどん成功していくのだと思うと辛いところがある。
政治的な課題への対処についてはちょっと楽観的過ぎなのでは?と感じた。
ただ、相手の倫理観に訴えるというのはなるほどと思った。
シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇(二回目)
前回見たのが8点だとすると今回は7点。
ちょっと評価下がったぞ
途中まではいいのよ。
最初はネルフとヴィレがドンパチやってんなってことが余すところなくわかるし、
(二回見ただけでそれ以上の理解はハナから望んでいない)
第3村のところではエヴァ史上もっとも説明台詞が多くて、
あーそういうことかってわかってエヴァなのに「わかる喜び」みたいなのがあって。
二回目だとよりよくわかって楽しいよね。
確かにいまの風潮が「わかる楽しさを求めるのはバカ」ということは知っているけど、
見てて説明なさすぎて置いてけぼり食らうのは(バカはバカなりに)辛いからね。
その後の戦闘シーン、これも最初の戦闘と同じ。
なにやっているかてんでわからないけどネルフとヴィレがドンパチやってるのはとてもよくわかる。
そしてシンジとゲンドウですよ。
この流れが無理矢理に感じた。どうかと思った。
あれならもう一本解決編があった方がスッキリする。
どうしても終わらせないといけないっていう気持ちはわかるけど、
Qがああいう作品であったことは消せないのでそれならもう少し必然性のあるラスト展開にしてほしかったなあ。
つかQでの風呂敷がもう少しちいさければよかったんだけね。
そのQのせいでシンエヴァの途中に割と長い尺使って説明しなきゃいけなくなった。
今回はその説明がなまじ秀逸なだけに余計ラストの無理矢理さが目立ってしまったなあ。
スタンド・バイ・ミー
4人の冒険譚だけどメインは親友クリスの思い出話。
前回見たのたぶん二十代だったんじゃないかな。
短縮版で見たのもあってなんか死体探しに行くよね、これが名作?くらいの感想しかなかった。
もうずいぶんいいおっさんになって見ると、もう冒頭のクリスが死ぬ場面でしみじみしてしまう。
少年期特有の青臭さ、挫折と夢。
時間にして二三日の話なのに、場面の数もそれほどないのにここまで話を詰め込めるか、と関心してしまう。
象徴的な場面が効果的よね。
そしてラストのクリスを想う主人公ゴーディ。
懐かしむことで死者を追悼する中年期の場面であの名曲が―これは素晴らしい名作。
ちょこっと淋しくてクスッと懐かしい。少年サイズの懐古譚。
「『読む力』と『地頭力』がいっきに身につく 東大読書」(西岡 壱誠)
本の読み方を調べていて知った本。
タイトルが破滅的なまでにダサいせいで過小評価されそうだけどこれは結構良書。
282ページを二日で読み切ってしまった。それなりに面白かった。
特に前半の本を読む前の準備の部分は今後参考にしたい。(と思うけど普通やってるよな)もう少し具体的にやり方を書いてくれればもっと参考にできるのに・・・
とはいえ、この本の読み方で読めるのは軽いノンフィクションのベストセラーで、俺が読みたい小説・哲学書・思想書・論文・科学書なんかは当てはまらないよね。
随所に「東大では」「東大生は」が出てきて恥ずかしい。
合格してよっぽどうれしかったんだろうね。
世の中そこまで東大崇拝はないと思うな。
一番びっくりしたのはラスト、「氷菓」で人生が変わったという人が例示されていたとこ。
氷菓、うちにもあるし程々面白いとは思うが氷菓で人生変わるかー、そうかー(動揺)。
思えばどんな本であれ人の心は動くか動かないかなわけでそう考えると本を書くというのは必然的に人の心を動かしうるわけよね。*1
本は偉大だ。
*1:つまり心が動かない人が大多数でも動く人が一人でもいれば心が動いたと言える
イップ・マン 序章【ネタバレあり】
今回はあまり・・・前回は見終わってもっとスカッとした気がするぞ。
地上波版と前回みたBS版では違うのかな。
カンフーアクションはカッコいいけどもうちょっとスカッと方面か伝記映画方面かわかりやすくしてほしいな。
今回は登場人物紹介をすることで感想に代えさせてもらえればと。
イップ・マン・・・葉問。主人公。詠春拳の使い手。無敵。武術バカ。正義のヒーロー。前半すごいお屋敷に住んでいたけど、弟子もとっていないのに何して稼いでいるの?
ウィンシン・・・嫁。劇中唯一の美人。始めツンツンやがてデレデレ。
チンチュン・・・イップの友達。実業家。綿織物の工場長。後半は盗賊に荒らされたり日本軍に暴行されたり苦労しながらもイップを工場で雇うなど影の苦労人。
スーツと眼鏡、資本家とあまりによくできたキャラなので裏で日本軍と繋がっている悪役だったりしないかとヒヤヒヤした。
三浦・・・日本軍のトップ。空手バカ。自分の空手が最強だと信じてやまない。日本軍の中の腕利きを集めて中国人と道場で勝負させてたりイップとの一騎打ち試合を仕組んだり私利私欲が目立つ。ただ武道では正々堂々闘って勝つことをヨシとしているあたり、妙にまともだったりする。
リー・チウ・・・通訳。日本人との仲介をしているせいで裏切り者扱いされている。でもいい暮らしをしているのも確か。ちゃんと愛国心はある。後半はイップをかくまったり撃たれそうになった時に銃をそらしてあげたりかなりいい奴になる。でも戦後は漢奸狩りされちゃったのかな。
カム・サンチャウ・・・前半は道場荒らし、後半は盗賊とロクなことないヤツ。せめて抗日運動でもしていればよかったものを。
コンユウ・・・チンチュンの息子。再三にわたってイップの一番弟子になりたがる。
ラム・・・食事屋の兄ちゃん。弟思いのいい奴。三浦主催の試合で日本人に負けて佐藤に撃たれて亡くなる。ひどい。
佐藤・・・日本軍の次席。小柄なメガネの典型的な悪役日本人。サディスト。気に食わないヤツは撃てばいいと思っている。ウィンシンに手をかけようとしてイップに倒された。
シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇【ネタバレ】
新世紀エヴァンゲリオンって俺が中学生時代の作品なのか。
それがやっと完結・・・長いなぁ・・・
シンジくん世代だったのにもうすっかりゲンドウ世代になっちゃったよ。
終わる終わる言ってどうせ終わらないんでしょ?
シンジくんが鬱になる展開でまた次回作に続いちゃうんでしょ?
と思って観に行ったら本当に終わっちゃった(ここ最大のネタバレ)。
ただ終わったというより終わらせたという感じだよね。
手描きのシーンとかTV版で苦しんだ人たちには救済に感じたんじゃないかな。
一人一人話を終わらせていく様は俺妹かよ!ってちょっと笑ってしまった。
・・・と思えば結局相手マリかよ!って一番最後のシーンが一番衝撃だったよね。
マリってぽっと出の謎の転校生のイメージしかなかったので「ええええ、最強最高最後のヒロインはアスカだったんじゃないんすか・・・」って激しく動揺した。
それまでのシーンもどれも印象的でどれもプラスに感じているんだけど最後のシーンだけはマイナス感覚強いなあ、寝取られたというのが一番近い感覚。
いや、ちゃんとマリのこと知らなかった俺が悪いんかも知れないが。