【ネタバレ注意】「男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。」(時雨沢恵一)
―去っていった盟友に捧ぐ―
男子高校生で売れっ子ライトノベル作家―主人公・僕
年下のクラスメイトで声優の女の子―ヒロイン・似鳥絵里*1
最初はラノベ執筆ハウトゥものだよね。毎週同じ電車の中で主人公がインタビュアー・似鳥相手に延々とライトノベルについての質問に答え続けるだけ。ただひたすらインタビューし続ける似鳥が何者なのか気になるだけで。だから○○ガールの路線で「ラノベ執筆ガール」なのかと思ってだらだら読んでた。
でも執筆の部分がいくらなんでも少なすぎる辺りから、変だな、似鳥になんかあるなと思い出した。
まず、二巻で似鳥の秘密が明らかになる。
正直、そんなに驚く秘密じゃなかった。(それまでの似鳥の違和感を思えば)
ただ、ラブラブうふふなおまけステージだと思っていた三巻の終わり近くで、謎など無さそうだった主人公の秘密が明らかになったのは衝撃だったわ。
似鳥の秘密で謎解きは終わりやったんちゃうんかーい!てな具合でね。
とはいえ主人公の謎というのがいかにも取ってつけたような感じでどうもしっくりこないんだよね。
どんでん返しという筋の面白さ、謎解きの面白さを最優先にして、気味の悪いオチを提示するのは嫌い。
文学性を犠牲にして新奇性を全面に出してるというか。
例えば推理モノだと人が死なないとそもそも謎解きにならないから人を殺すのはまあ仕方ない場合もあるのかなと思うんだけど、それはあくまで必然性が美的な文学性を上回っているから仕方ないのであって、できることなら平凡な、つまり胃の中が気持ち悪くならないお話の方が文学的に好ましい。
三巻の終わりにある次巻以降10巻までの架空のあらすじがとても微笑ましいので正直、もっと読んでみたいという気分もある。単純に一旦読んじゃったから続きが気になるだけかもだけど。
小説を高速読みするのが好きな人におすすめ。逆に本はじっくり熟読するという人は絶対読まない方がいい。
*1:に「た」どりえり。お値段以上じゃないのね